塾なし高校受験〜うちの田舎メソッド〜

2025年高校受験予定の中3息子、ポン助は中学受験残念組。進学塾も高校も無い町から1校のみの挑戦。しかしあと数問程度力及ばず、地元の公立中に進んだ。中学受験の内容も知らずに、事ある毎にネタにして馬鹿にする奴も居る。でも「楽しかった。僕は挑戦する事を止めない。」そう言い切った。常に仲間と明るく楽しく、全力で駆け抜ける田舎の中学生男子の日常。

烙印ニモ負ケズ

中学受験不合格後

結果をしっかり受け止めて

前向きに歩き出した矢先…


親友だと思っていた子から

まさかの受験失敗を馬鹿にされ

それをネタにして嘲笑されていたポン助。

暫く我慢していたのだろう

堰を切ったように私に吐き出して

号泣した。


私も信じられなかった。

その相手は

絵に描いたような

真面目な優等生。

中学受験はしなかったが

ポン助の中学受験を

誰よりも応援してくれていると

信じて疑わなかった子だった。


幸いクラス内での出来事で

直ぐに数名のクラスメイトが

ポン助を庇い

彼に注意したらしいが

その彼は

「何がダメなの?」

と言った様子だったらしい。

目撃者多数

証言者多数

ポン助のメンタルを心配して

LINEをくれた人も居た。


当然ながら

受験に落ちたのは事実。

ポン助が親友だと思っていた彼は

まるで鬼の首でも取ったかの如く

執拗にポン助を揶揄して

嘲笑ったらしい。

しまいには

ポン助のスキー技術や家庭環境まで

馬鹿にして来たらしい。


「友達やめてもいい?もう無理…」

泣きながら訴えたのが

彼の名前だった事に

私もショックだった。


「やめてもいいよ。本当の友達は

絶対に馬鹿にしたりしないから。」


私は冷静に言った。

証言者は多数だったが

私は一応彼の親にLINEで事実確認をした。

当然答えは


「うちの子はそんな事言っていないそうです。」


ですよね(笑)


揉めたくは無いので

ポン助の聞き間違いにした。


しかし私も

腸が煮え繰り返って居たので

「ポン助の他に聞き間違えた子が

何人居るかわかりませんので

他の子の聞き間違いや

失墜しているクラスメイトの信頼の回復は

ご自分で何とかなさって下さい。」

とLINEした。





その後彼は

両親に連れられて家まで謝罪に来た。

ポン助はとりあえず許したが

おそらくもう

今までの様な付き合いでは無くなる。


彼の親が家で言っていた事を

彼がそのまま学校で

ポン助に言った可能性もあるだろう。


どちらにせよ

教室内では殆どの子が

本気で彼を怒り

ポン助を庇ってくれたらしい。


彼のこれからの学校生活が

どうなろうと

もうポン助の関わる所では無い。


ポン助にとって

親友だったはずの彼は

ただのクラスメイトになった。


もう一緒に遊ぶ事も無いだろう。

気を許す事も無いだろう。


残念だが

彼の振るった言葉の刃は

ポン助の心に

消えない大きな傷を遺した。

彼だけの言葉では無いだろう。

周りの大人達の

ポン助や我が家の方針に対する

様々な批判的な意見が

彼というフィルターを通して

我が家に入って来たのかも知れない。


自分の子の

数年間の全力の努力を

踏み躙られ嘲笑されて

黙って居られる親は居ない。


彼と両親が

家まで謝罪に来た時に

本当は言ってやりたかった


「あなたのお子さんは1日10時間以上

勉強し続ける事が出来ますか?

1年以上ゲームを我慢する事が出来ますか?

キャンプや旅行やクリスマスやお正月

全て勉強時間に変えられますか?

月に何度も何度も模試を受けに

数時間かけて都会に連れて行く事が出来ますか?

難問揃いの模試や全国テストを

楽しいと言って貪欲に受けられますか?

ポン助が落ちた志望校の入試問題で

お子さんは合格点が取れるのですか?

ポン助より高いスキー技術で

大会で入賞する事が出来るのですか?


お子さんが全てクリアしてから

誹謗中傷は受け入れます。」


喉の奥まで込み上げてきた

その言葉を私は全て飲み込んで

笑顔で謝罪を受け止めた。



全国各地に

同じ様な気持ちを抱えて

過ごしている方も居るだろう。

我が家も

落ちた子の烙印は

避けて通る事は出来なかった。



それでもポン助は

今日も元気にスキー場に向かう。

北海道内では誰もが知る

規模の大きなスキー場で

目標だったスキー級別1級に合格し

今シーズン4度目の大会入賞を目指して

すでに強い気持ちを立て直した。

春には

学力コンクールや

数学検定を予定している。

勿論ポン助は

どれも全て楽しみにしている。

親が強制している物は

何1つ無い。



人の妬み恨みや冷やかしに

構って居る暇は無い。

ポン助は今

全力で楽しむ事に忙しい。


振り返らないと決めた日から

あっと言う間に今日まで来た。


卒業式まであと少し

残りの小学校生活

思い切り満喫しよう。


烙印は消えないが

いつか近いうちに

それすらも笑い飛ばして

さらなる高みを目指すポン助の姿が

簡単に想像出来るから。


下を向かないで

前だけ向いて

笑顔でまた走り出そう。


人の事を笑う暇があったら

もっと自分を磨いて

レベルアップして行こう。

そしていつか

お互いリスペクトし合える仲間達に

たくさん囲まれて

素敵な青春を過ごせたら

きっと楽しい人生が待っている。


中学受験の失敗だけで

人生が終わる訳じゃ無い。


失敗した事がある。

全力を尽くしても

叶わなかった事がある。


きっとそれが

ポン助の人生の中で

最大の財産となるだろう。



昔読んだ漫画に

似たような台詞があったが

今改めて

本気でそう思っている。


沢山失敗して

沢山泣いて

深みのある人間になろう。


巣立つその日まで

両親はいつも側に居るから。


頑張れポン助

これからはもう

明るい未来しか見えないから。